ドイツ日々日誌

仕事でドイツに滞在中。ドイツ語力ほぼゼロで始まった自身の日常から、愉快な体験談を書き留めています。

ONE OK ROCK の最近の音楽性について 2019.2.24

こんにちはー、Roggenbrotです。

ブログを始めた矢先からちょっと忙しくなってしまい、

久しぶりに更新できました。

 

しかも!全然本筋のドイツ日誌から外れて、

今日は、最近新アルバムをリリースしたロックバンド、ONE OK ROCKについて。

 

ONE OK ROCKは音楽好きな方なら名前は大抵ご存知かと思いますが、

デビュー以来邦楽ロックの超新星と言われている人気バンドですね。

私は遅まきながら3〜4年前に存在を知って(コアファンの皆さんすみません。。)、

「へー、日本にこんないいバンドいたんだー!」と感激して、以来過去の楽曲やアルバムも概ね聞き返し、応援しているファンの一人です。

このバンドはとにかくTAKAのボーカリスト兼ソングライターとしての才能と、

ドラムの音感・音抜けの良さ、この2つが牽引してここまできていると思います。

ライブの生歌でこんなにピッチが狂わないボーカルは日本では本当に珍しいし、

声の性質も表現力も間違いなく世界水準です。

ドラムはフレーズの随所に天性の創造力を発揮して、かつ音がまっすぐ前に飛ぶ感じは、ちょっとBLANKY JET CITYの中村達也を彷彿とします。

加えて両サイドの弦楽器隊は音楽的には普通ですが、彼らが個性的でないことが(いい意味で)このバンドにはプラスに働いていると言えます。

彼らがテクニシャン系だったら、多分このバンドはここまで成功できていません。

バンドの良し悪しはメンバー全員が最高に有能なプレイヤーであるかどうかではなく、バランスなので。

 

さて、そのようなわけで、彼らは数年前にアメリカのレーベルと正式契約し、

日本と重複する形で活動を広げているわけなのですが、

今回2019年2月に発表したアルバム「Eye of the Storm」日本版iTunesページのレビューを見ると、結構賛否両論分かれていました。

「最高!」

という意見と匹敵するくらい、

「そこらへんの洋楽みたいでつまらない。」

「もうロックじゃない。」

など、がっかりコメントが多いです。

本人たちは「今は世界で売れることにフィックスしているので、賛否両論あって構わない」と公言しているようですが、まさにファンの反応は予想通りの結果ですね。

 

さて、それで私がクリエイターとしての目線で個人的に得た感想を言うならば、

目標に向かって手堅くやっている、

と思います。

 

その理由は、CD(音源)とライブの音作り、アレンジを完全に別の視点で作り上げて、かつ双方がポジティブにリンクすることを想定していることが明確だからです。

 

世界でまだまだ無名な彼らにとって、ウェブやラジオで流れる音源は大切な導入部分。

デジタル処理された音楽を聴き慣れた現代の多くの一般人には、当たりの強いロックサウンドは好き嫌いが分かれますし、コンプで聴きやすく調整したサウンドの方が、彼らの楽曲の良さを前面に立てることができます。

「他の楽器が聴こえない、これならTAKAのソロアルバムでやれ。」

みたいな意見も散見されましたが、残念ながら世の中の多くの人はボーカルの声しか聴いていません。

ものすごく音楽が好きな人やバンド経験のある人なら、

「おおっ、ここのベースの入り方が超絶妙!」とか、

「うーんこういうスネアが立ってるミキシング好きー。」とか思うのですが、

普通の人はそんなところに気づきません。

曲が好み、かつボーカルが魅力的だと感じた時に、初めて気になってYouTubeやiTuneでそのアーティストを検索します。

なので、とにかくまずは一発気に留めてもらうことに特化した結果、

こういうサウンド、楽曲構成にしたのだと思います。

ちなみに、今回のアルバムは音色は本当にデジデジですけど(笑)、ギターベースのリフやドラムの個性的なスネア使いは本質的に変わらないので、よく聴くといつものワンオクだなーって思えますよ。

楽曲の完成度で言えば、前作の「Ambitions」よりもまとまってきた印象があって、個人的にはいいと思っています。この辺は好みですけどね。

 

それで、YouTubeで新曲のライブ映像を見ると、アレンジは完全にバンドの音色できちんとリアレンジされています。音がガチッと前に飛んで観衆が一丸となって盛り上がれるようなサウンドが設計されていました。演奏力について言えば、数年前の国内で人気バリバリの頃なんかよりも随分うまくなっていて、アメリカを中心にものすごい本数のライブツアーをこなしている結果が一目瞭然です。

もともとライブパフォーマンスの質の高さでは同世代のバンドの中でも群を抜いている印象でしたが、ライブの音圧、エネルギーはそのままに演奏力の向上も加わって、海外でもおそらく一度生演奏を聴いた人は完全にファンになってリピートすると思われます。そして、また自宅で音源を聴いて好きになる。

 

つまり、このループ、

キャッチーな音源→バンドの存在を広く周知→新規客をライブに動員→本来のパフォーマンス力の高さでコアなファンを多く獲得→各々自宅で質の高い楽曲を楽しむ

が、現在のONE OK ROCKの海外での方程式かな、という印象です。

 

それとは別に、「昔のワンオクの方が良かった」という意見は、特に10代〜20代の方々からは自然な意見かなと思います。

深く傷ついた心や直接的な感情を歌詞とメロディに乗せて、絞り出すように歌ってきたかつてのONE OKE ROCKの強いメッセージ性が今の彼らから薄れているのは、彼らがそうした感傷の渦中にはもういないから。

良くも悪くも?、様々なことを経験して、大人になっているからです。

音楽というものはクリエイターにとっては生き物で、その年齢、その瞬間にしか書けない、表現できないものが必ずあります。そして、年齢を経るごとに俯瞰する(客観的に自分と引き離して見る)ようになってきます。

なんだ、じゃあ大人になるってつまらない。

と、いうことではありません。

少しずつ、感性と視点が変わっていくだけです。

年を重ねていく毎に初めて知る感情や景色があって、

若い時の感性はその分失われていくとしても、

その時、その瞬間を丁寧に生きていると、

どの年齢のどの瞬間でも素晴らしい世界を見ることができます。

楽曲の好みとか、音楽性はそれによって当然少しずつ変化していきます。

ONE OK ROCK も、彼らの音楽を聴く人々も、お互いに。

 

そんなわけで、彼らにはどんどん活躍の舞台を広げて頑張ってほしいですね。

 

ちなみに、目的と方法が明確、

ということはすべてのクリエイティビティに重要なことなので、

自分も肝に銘じていきたいと思います。

 

今回ご紹介したアルバムはこちら。聴いたことがない方はチェックしてみてください。

Eye of the Storm

Eye of the Storm

 

「Niche Syndrome」や「残響リファレンス」、「人生×僕=」あたりが、

割と広く国内で人気のあるアルバムです。参考まで。

Niche Syndrome

Niche Syndrome

Zankyō Reference

Zankyō Reference

Jinsei × Boku =

Jinsei × Boku =